平成19年度
学会賞
論文賞 | 間瀬 肇、安田 誠宏 「台風0423号による室戸の高波災害解析」(沿岸域学会誌Vol.18 4掲載) |
本論文は、2004年の台風23号による室戸市室戸岬町における海岸災害を解析したものであるが、従来の台風による高潮・高波災害解析と異なる観点か ら、また同時に今後、重要となる知見を示している。特に、気象データを援用した予測システムを構築し、波浪追算を行っているが、今回被災した現地防潮堤の 状況のように、複断面の前浜勾配、およびそれに引き続く護岸・堤防、また、汀線近傍あるいは陸上におかれた護岸・堤防に対する打ち上げ高や越波流量を算定 する方法(設計算定図や算定式)は、日本および世界のマニュアルのどこにも見当たらない。著者らのこれまでの研究成果を応用することにより、市民にヒアリ ング調査した被災時の状況を説明可能な解析結果を得た。さらに、気象データを基とする高潮や波浪推算モデルへと発展されていること、設計マニュアルにも 載っていない不規則波浪の打ち上げや越波流量算定に利用可能な算定モデルが引き続き開発されていること等、海岸工学研究や沿岸防災・減災研究への寄与が大 きい論文と評価した。 |
論文奨励賞 | 該当なし |
出版・文化賞 | 活動:「海洋・沿岸域に関する国民への一連の啓発活動」 活動者:山田吉彦(日本財団) |
活動者は、2005年3月、「日本の国境」(新潮新書)、 2006年8月、「海賊の掟」(新潮新書)の執筆をはじめ、各雑誌へ海賊問題や沿岸域管理に ついて寄稿している。さらには、テレビ・新聞における海洋問題の解説、東京、京都、大阪、宮崎、長野、静岡など各地において海洋基本法の必要性を国民一般 に平易に説明するなどの講演活動を行っている。これら一連の活動は、一般国民にわかりやすく日本の海洋・沿岸域に関わる事象を紹介するなど、国民の海洋・ 沿岸域に対する興味を喚起し、理解を促進させ、海洋基本法の制定にも貢献したものといえ、沿岸域の総合的管理の促進にも寄与する一連の啓発活動であると評 価した。 |
出版・文化賞 | 出版物:「新版 海域環境創造事典」 発行所:NPO大阪湾研究センター |
本書は、真の循環型社会の構築に向けて、自然環境・都市環境等の現状を考慮しつつ、陸海の物質循環・水環境がある沿岸域空間における沿岸海域の将来に資 する書籍として執筆・編集されている。沿岸域管理者(Coastal Manager)にとっては、沿岸域における「実態把握〜問題点・課題の抽出〜対応策・計画の立案〜施行・施工〜管理システムの構築」のステージを、 フィードバックを繰り返しつつ着実に進めていくために、活用することができる。また、沿岸海域に興味をもち環境問題の解決や環境教育に携わりたいと考えて いる市民・NPO・NGOの方々、沿岸域自治体の環境教育・学習担当の方々には、環境への知識を充実しつつ現場での活動を進めるうえでのツールとして、さ らに、環境を学ぶ学生諸氏には、ものの考え方と海域環境創造を総合的に学ぶ教科書として活用できるなど、望ましい沿岸域の創造に向けて幅広く活用される有 用なものと評価した。 |
研究討論会優秀講演賞
「GISを用いた海岸環境の情報統合システム」 (日本大学 ○清水達也、小林昭男) 「瀬戸内海西部海域におけるミズクラゲの出現とその影響」 (愛媛大学 ○藤井直紀、南條悠太、武岡英隆) 「ウォーターフロントにおける「賑わい活動」の実施要件に関する研究―京浜港に着目して―」 (日本大学 ○鈴木伸吾、横内憲久、岡田智秀、東急不動産(株) 花野修平、 大東建託(株) 小山康隆) |