日本沿岸域学会 - Japanese Association for Coastal Zone Studies -
○ 日本沿岸域学会とは
沿岸域は、内陸空間と海洋空間とのインターフェースの役割を果たしており、自然の恵みや人間の多様な活動、文化を育んできました。また、昨今では大震災による津波被害や除染問題など沿岸域に対する関心がますます高まってきています。
日本沿岸域学会は、このような沿岸域にかかわるあらゆる問題を総合的に議論できる自然科学、社会科学、人文科学の各分野が融合した学際的な学会です。会員は、環境、土木、建築、水産、法律、経済、地理、歴史、観光などの各学界、さらには、官界、産業界等のあらゆる分野や立場の個人、団体の方々により構成されています。
○ 沿革
日本沿岸域学会は1988年に「日本沿岸域会議」という名称で発足しました。
それより少し前、1960年代に始まった米国の環境保護運動は、1970年の環境保護政策法(NEPA:National Environmental Policy Act)の成立、これを受けた環境保護庁(EPA: Environmental Protection Agency)及び海洋大気管理庁(NOA:
National Oceanic & Atmospheric Administration)の設置で結実しつつありました。 1972年に米沿岸域管理法(Coastal
Zone Management Act)の成立を受けて NOAが主催して沿岸域管理に関する国内の 学術・行政に携わる専門家が集まり定期的に会議を開催していました。
それから約15年後、1987年だったと記憶していますが、ハワイ大学留学から帰国された近藤健雄氏(当時日本大学理工学部助教授)が京都大学長尾義三教授を訪問され米国の状況を説明されました。そして、米国との交流窓口として、また国内の沿岸域の総合的研究組織としての学会の立ち上げを要請されました。そうして恩師長尾義三教授の奔走により、海岸管理を所管する運輸、建設、農水の3省を始め、建築、土木、経済、法律、環境、水産など多方面の研究者が参加した学術組織が立ち上がりました。発足当時は「学会」よりも「会議」とした方が未知の境界領域の研究者が集まるための名称として相応しということで「日本沿岸域会議」という名称で発足しました。
会議発足早々の事務局は大蔵省認可の(財)日本システム科学研究所に引き受けて頂くことになりました。その理由は、沿岸域を所管する省庁間の縄張り争いを避けるためでありました。当時、同研究所の理事長であった衆議院議員相沢英之氏が早々に「沿岸域議員連盟」を組織下さり、会議をバックアップして下さりました。
会議は年4回機関誌と論文集を発刊することになりました。そして2年に1回、米国のNOAの支援で開催される国際会議にも日本沿岸域会議として参加し、多くのイベントも開催しました。国際会議ではJournal
of coastal zone man- agementという論文集が発刊されることになり、次第に多くの国の人達が参加する国際会議となりました。
沿岸域会議の発足に伴い、英国で古い歴史を持つナショナルトラスト運動やNEPAに規定されたミチゲーションといった概念が日本に紹介され、わが国においても1971年の環境庁設置が実現し、沿岸域会議においても各国法制比較研究や環境保全に関する研究が活発化しました。
こうした実績を積み上げた10年後には、学術団体として日本学術会議に参加できる資格が出来たことで学術会議認可学会として「日本沿岸域学会」という名称に変更され今日に至っています。
〈参考:黒田勝彦(平成19〜22年度会長).沿岸域学会誌/第31巻 第2号 2018.9【創立30周年記念特集】p.5 〉
○ 活動紹介
・ 機関誌「沿岸域学会誌」の発行(年4回)
沿岸域に関する学術論文、プロジェクト紹介、NPO等の多様な活動主体の活動紹介、トピックなどを掲載した機関誌を年4回発行しています。
・ 論文投稿(論文・報告・ノート等)
投稿原稿は随時受付けています。2月末日まで受付けた投稿原稿は査読・審査の後、原則として翌年度6月発行予定の機関誌に登載されます。8月末日までに受付けたものは同様の手続きを経て、原則として当該年度の12月発行予定の機関誌に登載されます。
・ 全国大会(研究討論会、シンポジウム、見学会等)
全国各地において全国大会を年1回開催します。全国大会では、研究討論会(会員中心の研究発表会)、シンポジウム(地域が抱える課題等をテーマとしたディスカッション)、見学会、総会等を企画・実施します。
・ 講習会
講習会を年1回開催します。
○ 会員の権利
会員は、次の権利を有します。
(1)総会に出席すること及び選挙において投票すること。但し、学生会員を除く。
(2)研究成果を会誌その他刊行物又は研究発表会において発表すること。
(3)研究発表会、シンポジウム、講演会、講習会、見学視察等の行事に参加すること。
(4)会誌の無料配布を受けること。
当学会には、沿岸域に関心をお持ちの方はどなたでも入会が可能ですので、ぜひこの機会に日本沿岸域学会の活動に
ご参加ください。