平成24年度
学会賞
論文賞 | 赤倉康寛、鈴木武、松尾智征 「我が国貨物の国際海上輸送によるCO2排出量の推計」 (沿岸域学会誌Vol23,No.1,pp.9-21) |
本研究は、我が国の輸出入全貨物の国際海上輸送によるCO2排出量を推計し、さらに、将来予測や削減対策の効果を推計したものである。実現性の高い対策として、コンテナ船の減速運航や海外フィーダー率の低減、バルクキャリアの大型化等をあげ、それぞれの削減効果を推計した。これらの成果は、外航海運による排出量削減目標の設定に大きく資するものであるとともに、その対策の促進を促す意味で大きな貢献があると考えられる。よって本論文は当学会の論文賞に値すると判断される。 |
論文奨励賞 | 該当なし |
出版・文化賞 | 出版物:「3.11津波で何が起きたか-被害調査と減災戦略」 (2011年12月発行) 著者:柴山知也 |
本書の著者は東日本大震災やミャンマー・サイクロン、サモア・津波、チリ・津波といった近年国内外で発生した大規模な津波・高潮災害調査において先導的役割を果たし、津波・高潮災害の実像把握に大きな貢献をしてきた。本書は東日本大震災における津波痕跡調査の結果を踏まえ、被害状況と今後の減災戦略についてとりまとめたものであり、その有用性は極めて高いものと評価した。 工学的・客観的な分析に加え、多くの住民証言に基づく高いリアリティを有する本書は、工学分野の研究者のみならず、防災の限界に関する住民説明の重要性など行政関係者にも示唆を与える良書である。また、写真・図が多く平易な文章で記述されているため、中学生レベルの防災学習にも活用可能であり、その有用性も高く、時宜を得て社会への貢献度も極めて高い書籍であると評価した。 |
出版・文化賞 | 出版物:「江戸前の環境学 海を楽しむ・考える・学びあう12章」 (2012年2月発行) 編者:川辺みどり、河野博 |
本書の編者らが所属する東京海洋大学江戸前ESD協議会は指導可能な東京湾利用の仕組み作りを目指して、参加型ワークショッププログラムなどの取り組みを実績してきた。本書は湾岸地域の博物館、漁業者、市民団体などと協働し、新たな東京湾の未来ビジョンを描こうとしてきた活動の集大成としてとりまとめたものであり、その有用性は極めて高いものと評価した。 「海を楽しむ・考える・学びあう」という言葉をキーワードにした本書は、東京湾の総合的な沿岸域管理の基盤構築を念頭に、科学と政策と教育という沿岸域管理に必要な3つの観点から東京湾環境に対するアプローチを示した良書である。また、様々な関係主体との協働からとりまとめられたものであり、その有用性も高く、時宜を得て社会への貢献度も極めて高い書籍であると評価した。 |
功労賞 | 小池一之 会員(元副会長) |
JAMSTEC中西賞
JAMSTEC中西賞の推薦 | 赤倉康寛、鈴木武、松尾智征 「我が国貨物の国際海上輸送によるCO2排出量の推計」 (沿岸域学会誌Vol23,No.1,pp.9-21) |
研究討論会優秀講演賞
相田 康洋(日本大学) 「陸上遡上後の津波解析のためのMPS法の利用方法の提案」 石山 拓実(日本大学) 「震災復興における「地域の記憶」の継承に関する研究 ―塩竈湾臨港地域における 震災復興の方向性の導出―」 景山 良祐(東海大学) 「都市運河域に造成された人工干潟・海浜おける環境の時系列的変化と生物相との検討」 酒井 和也(一般財団法人土木研究センター) 「2011年地震津波により流失した鮫川河口砂州の復元時における周辺海岸の侵食」 柴田 晴佳(北里大学) 「三陸沖合における流出物の実態」 寺口 敬秀(日本大学) 「東日本大震災において発生した東京湾の津波被害に関する研究」 土井 康義(株式会社建設技術研究所) 「海生生物と物理環境との関連性を捉えた海岸保全施設整備事業の環境影響予測」 安 井 裕(日立造船株式会社) 「大阪湾東部海域における酸素と二酸化炭素の分布,およびそれらがサルエビ成体の 生残に及ぼす影響」 |