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学会賞  

2020年度 学会賞

論文賞 惠藤 浩朗、下本 瀬夏、北畠 佑一、登川 幸生、山本 守和、宮沢 信太朗
山口 順子、居駒 知樹、相田 康洋、増田 光一
GISによる災害時医療支援浮体の適地選定および規模に関する基礎的研究
(沿岸域学会誌2019年6月号登載)
本論文は、医療支援浮体に着目し、首都直下地震を想定した上でGISを用いて医療支援浮体の適地選定や規模算出を目指したものであり、有用性および社会的関心が極めて高い論文である。  本論文では、東京都で発生が予想される首都直下地震をもとに、GISを活用して東京都の町丁目ごとの負傷者数やクラッシュ症候群発症者の分布を詳細に把握し、その結果をもとに医療支援浮体の適地選定や規模に関する緻密な検討を実施している。この透析治療施設の適切な配置は、透析療法を必要とする患者の治療機会を拡大するだけでなく、震災時のクラッシュ症候群発症者の早期治療にも貢献することが大いに期待される。本論文の研究対象や得られた知見は、医療支援浮体の利用方法にとどまらず、沿岸域を核とした沿岸域の新たな活用に関して有用な示唆に富んでおり、沿岸域研究への貢献は大きいと言える。  以上を総合して、本論文は論文賞受賞に相応しいと判断した。
論文賞 村井 基彦
「海の公園」におけるアサリ個体数の変動に関する傾向と考察
(沿岸域学会誌2019年12月号登載)
本論文は、長期間における「海の公園」のアサリの個体数の調査結果を示したものであり、近年における干潟のアサリの現存量の変動について非常に価値のある情報を提供している。 本論文では、横浜市の「海の公園」におけるアサリの殻長別の個体数の調査を月に一回の頻度で15年以上にわたり継続的に実施した極めて貴重な結果を示すとともに、調査結果に基づき当該域におけるアサリの個体数の変動について分析・考察を行っている。その結果から、「海の公園」におけるアサリの個体数は大局的には資源量を維持しつつも、その変動には数年周期があることを示している。また、個体数の変化と潮干狩りなどの人の活動との関連についても言及している。これら本研究で得られた知見は、「海の公園」にとどまらず、アサリの資源量が減少している全国の多くの干潟に対して、今後の資源管理や保全のあり方に関して有用な示唆に富んでおり、沿岸域研究への貢献は大きいと言える。 以上を総合して、本論文は論文賞受賞に相応しいと判断した。
出版・文化賞 港の日本史(祥伝社新書2018年3月10日出版)
著 者:吉田 秀樹
本書を一般書として出版することにより、また、本書と関係した講演等を行うこと通じて、著者は、我が国の歴史において港を中心とした沿岸域の果たした役割を41港にのぼる港の事例を通してわかりやすく伝えた。これにより港や沿岸域に関する一般の理解を増進するとともに港や沿岸域利用振興の促進に大きく寄与した。
本書の特に優れている点として、以下の3点が挙げられる。
・ 我が国の歴史の中で港や沿岸域が果たした役割を解説した本はこれまでなかった。
・ これまで港湾関係の書籍は関係者向け・専門的であったが、本書は、一般の人の港や沿岸域の理解増進・利用  振興の促進のために、一般向け新書版として作成されている。
・ 内容的には、41港にのぼる事例を紹介しながら読みやすくわかりやすい内容となっている。以上を総合して、 本書は出版・文化賞受賞に相応しいと判断した。
功労賞 細川恭史(元副会長)

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